思いがけない妊娠に悩んだ人の体験談

思いがけない妊娠に悩んだ人の体験談

産む決断をしたA子さんの場合

中学校卒業が近くなった頃、生理がきていないのが不安になって同級生の彼に相談したけど、どうしよう?ってなるだけでそのままにしていました。両親は小さい頃から厳しくて、妊娠してるかもなんて怖くて言えなかった。受験前だし学校の先生にも相談できなくって、他校の友人に相談したらピンク色の『にんしんSOS』っていう連絡先を書いたカードをくれました。学校でもらったって。

何を聞いたらいいのかもわからなかったけど、彼と1回だけ電話してみようってことになって一緒に電話をしました。すごく緊張したけど電話に出た相談員さんが、「よく電話してきてくれましたね」って言ってくれて、彼と一緒にいるって言ったら、「それは安心しますね」と二人を認めてくれた感じがしてほっとしました。

相談員さんに、「まずは薬局で妊娠検査薬を買って検査をしてみて」と言われて検査をしたら、やっぱり陽性が出ました。もうどうしよう!おかあさんに怒られる!友達になんて言われるんだろう、学校どうしよう…ってパニックになりました。そうしたら彼が、「相談員さんが検査の結果を教えてねって言ってた」って思い出して、もう1回にんしんSOSに電話をしました。相談員さんに、「今あなたがどうしたいのかが大事だけど?」と聞かれました。私すぐに「産みたい!」って隣にいる彼に言ったら彼も「うん」と言ってくれたので、そう伝えました。それからは今からやることを一緒にゆっくり考えてくれて、両親と話をする方法も考えました。

ものすごく怒られるのを覚悟しておかあさんに妊娠しているって言ったら、「いつ言ってくれるんだろうって思ってた」って言われました。厳しい両親だと思っていたけど、本当は私が突っかかっていただけだったのかも知れないですね。

彼のご両親と私の両親も会って話をしました。私はちゃんと元気なあかちゃんを産んで、私とあかちゃんは私のうちで生活をして、彼は就職してお金を貯めて、親子3人で暮らせるようになったら結婚するって、みんなで決めました。

今は4ヶ月になった娘が笑ってくれるのがかわいくて。彼も彼の両親もよくうちに会いに来てくれて、彼もパパらしくお世話をしてくれています。家族みんなに助けてもらって育児をしながら、私も高校にいけるように勉強もがんばっています。

産みたいけど育てられないと悩んだB子さんの場合

なんとなく、自分は妊娠しないと思いながら何人かの人と交際していた。生理がいつからかきていないことに気付いてすごくあせったけど、相手が誰かわからないから誰にも相談できなくて、妊娠していることを考えたくなくて病院にも行けずにいたらお腹が大きくなってきた。中絶は怖いし、でも産むなんて考えられなくて、妊娠しているってばれるのがいやだから大学にも行けなくって、バイトも続けられなくて家にこもっていた。親は離婚してて、母親は再婚してる。まだ小さい子もいるから迷惑はかけられない。

不安でネット検索していたら『にんしんSOS』のサイトがヒットしたけど、相談しても何かいいことがあるとも思えなかったし、どうせ怒られるだけだと思って電話してみようとは思えなかった。そのあとになにかのテレビ番組で、あかちゃんは預かってもらうことができるということをやっていて、どういうことか、にんしんSOSなら教えてもらえるかもと思って電話をしてみた。

それまではどうしようって思いばっかりでおなかの子のことを考えられなかったけど、電話相談の人に市役所とか児童相談所とか相談できるところを紹介してもらって、そこで「あなたはからだを大事にして元気なあかちゃんを産んで、そのあとはあかちゃんを預けて、あかちゃんの育つ環境を整えることもあなたの大切な仕事ですよ」と教えてもらった。初めて産んで育てようって思えて、親にも話してあかちゃんを里親さんに預けることを決心した。そうしたらなんだか肩の力が抜けて、安心して出産できた。

大学は辞めてホームヘルパーの資格を取って、二人で生活できるようになるためにがんばっている。里親さんのところへあかちゃんに会いに行ったときにはミルクの作り方とかおむつの替え方とか教えてもらえるし、おかあさんになる練習できることがうれしい。あかちゃんには「一緒に暮らせるようにがんばってるからね」って話しかけてる。

産まない決断をしたC子さんの場合

私は母子家庭で育って、5人兄弟の長女だから家のことをするのが当たり前の生活をしてきました。SNSで知り合った人と付き合って関係を持ってから半年くらいの時、妊娠に気づきました。

彼にLINEで妊娠したかもって送ったら、それからは電話もLINEもつながらなくなって、家も知らないし共通の友人もいないし、全く連絡が取れなくなりました。

バイトをふたつ掛け持ちして、妹弟の食事を作って学校に行かせている生活だからあかちゃんなんて産めないし、第一おかあさんに心配かけるなんて考えられませんでした。

病院に行かなきゃだめかもと思ってネットで探していたら、『にんしんSOS』のメール相談を見つけました。誰にも話ができなかったから、つい今の私の状況も書いて病院を探しているって送信しました。そうしたら、「よくがんばっておられますね」って返信が来て安心しました。何度かメールでやり取りして、途中からは電話でも話を聞いてもらいました。相談員さんに早く病院に行った方がいいと教えてもらって、妊娠週数の早い負担の少ない時期に手術を受けることができました。

いろんなことを決めるのはひとりでは無理だったし、受診する勇気もでずに時間だけ過ぎていたかもしれない。顔見知りにはかえって相談できないし、と言って知らない人に説教されるのもまっぴらだと思っていました。だけど、相談員さんは私のことを責めずに親身になって聞いてくれて、一生懸命考えてくれました。

今回の自分の決断に責任を持ちながら、自分の人生を生きていこうと思っています。

「にんしんSOS」は大阪府の委託を受け、大阪府立病院機構大阪母子医療センターが運営しています。
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